会陰ヘルニア
こんばんは、フジタどうぶつ病院です。
会陰ヘルニアという病気の説明と治療について、症例報告も兼ねて書きたいと思います。
ヘルニアとは、体内の臓器があるべき部位から逸脱した状態のことを指します。会陰とは性器と肛門の間の部位を指します。つまり会陰ヘルニアとは、性器と肛門の間、わんちゃんで言うと肛門の斜め横下辺りに腹腔内の臓器が出てきてしまう病気です。大抵は大腸が出てきてその部分に便が溜まってしまいます。もっと進んでくると膀胱が出てしまい、尿が出にくくなってしまいます。
この病気は去勢をしていないオスのわんちゃんに多い病気です。これまでの当院で会陰ヘルニアで治療したのは、すべて未去勢のワンちゃんでした。
写真のワンちゃんは12歳のオス(未去勢)です。便秘の主訴で来院しました。去勢は勧めていたのですが、なかなか飼い主様の決心がつかなかったようです。そうこうしているうちに会陰ヘルニアになってしまったようです。
会陰ヘルニアの治療法は手術しかありません。大抵の症例は前立腺肥大にもなっているので同時に去勢も行います。下の写真が治療後です。痛々しいですね。両方の会陰部がヘルニアになっていたので同時に治療しました。手術時間は2時間ほどかかりました。わんちゃんにとっては大変な負担の手術になりました。術後も2日間の入院と点滴が必要でした。
これまで去勢をしているワンちゃんで会陰ヘルニアになったワンちゃんは見たことはありません。若い健康なうちに去勢をするのは体にはそう負担はありません。子どもが要らないということであれば早いうちに去勢手術をすることをお勧めします。歳をとって体力が衰えた時に大変な手術になれば命がけですし、第一高額な費用がかかります。
去勢をすれば寿命が延びることは証明されています。去勢手術はワンちゃんにも財布にも優しい予防治療だと思います。
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