胃捻転を起こした紀州犬

query_builder 2015/08/16
症例報告
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こんにちは、フジタどうぶつ病院です。
 
今日は紀州犬の胃捻転についてご報告します。
胃捻転とは、文字通り胃が捻転し、胃そのものがシャットアウトしてしまって
物や液体、ガスが胃から抜けなくなってしまう状態になります。
放っておくと胃がどんどん膨張して、肺、心臓、血管を圧迫して呼吸困難や
血行障害を起こして亡くなってしまうか、もし治療が間に合っても胃そのものが
傷害を受けて、その後に亡くなってしまう怖い病気です。
 
胸の深い大型犬に多く、食後に暴れたり、走ったりすることで胃が回転して
なる場合が多いです。原因がはっきりしない場合もあります。
 
今回の紀州犬の場合は、飼い主さんが夕方出先から帰ってきた時に、
涎を流し、えづくようなしぐさをするが吐くことができないような感じがするとの
ことで来院されました。
このわんちゃんは、庭で飼われていて昼頃にフードを与えた後、前の道を人が
歩くとピョンピョンと跳ねることがよくあるということでした。
 
診察したところ、お腹がかなり張っていてぐったりした様子でした。
すぐにレントゲンを撮ったところ、下のような画像が得られました。
 
胃がガスで大きくなっていて、通常では見られない線が胃の中に見られました。
典型的な胃捻転です。
ぐったりしているということもあり、緊急で手術しないと大変なことになります。
手術がうまくいっても胃の状態が悪ければやがて亡くなってしまいます。
診察中ではありましたが、すぐに診察を中止し、手術の準備にかかりました。
胃捻転は死亡率の高い病気です。いかに早く胃を正常の状態に整復するかに
かかっています。
 
今回の紀州犬の場合、胃捻転と分かった時点で診察中ではありましたが、
診察を中止して、手術の準備をしつつまずは胃のガスを抜く処置にかかりました。
すぐに麻酔し、口から管を入れてガスを抜こうとしましたが、胃が複数回回転しているのか食道から胃へ管が通せませんでした。
そこで、腹壁から胃に直接注射針を5-6本刺してガスを抜きました。
時間はかかりましたがかなり抜けたのでまずは一安心。
すぐに開腹して胃の整復にかかりました。
胃はやはり1回転以上起こっておりましたが、何とか整復できました。
胃の状態も悪くはありませんでしたので、そのまま温存することにしました。
この時点で胃の血流が滞って、壊死を起こしていればその部分を切除する
必要があります。そうなると治癒率はガクッと落ちてしまいます。
今回は温存ですが、ただこのままにしておくとまた同様に胃捻転を起こす可能性が
ありますので、再発しないように胃を腹壁に固定することをしなくてはなりません。
今回は胃壁の筋肉の一部を剥がして肋骨に縫い付ける方法を取りました。
それが下の画像です。この後、腹壁を閉じて1日だけ入院しましたが、次の日から
食欲も旺盛で嘔吐もありませんでしたので、退院としました。
今でも元気に過ごしています。
胃捻転は大型犬に多い病気です。
食後に走り回ったりすると起きやすいと言われます。
食後は静かにさせるに越したことはありません。
  

 

 

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